雇用調整助成金
景気の変動、産業構造の変化などの経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、休業、教育訓練、または出向によって、その雇用する労働者の雇用の維持を図る事業主に対して助成するものであり、労働者の失業の予防や雇用の安定を図ることを目的としています。
対象となる措置
本助成金は、次の1と2を実施した場合に受給することができます。
- 1.
- 事業活動の縮小を余儀なくされる中で、雇用する労働者(雇用保険被保険者に限る。以下同様)の雇用の維持を図るために、その者に対して次の(1)~(3)のいずれかの措置(以下「雇用調整」と総称する)を実施する計画を策定し、管轄の労働局またはハローワークへ事前に届け出ること
- (1)
- 休業
次の①~④のすべてに該当する休業を行うこと- ①労使間の協定により行われるものであること
- ②所定労働日の所定労働時間内において実施されるものであること
- ③休業手当の支払いが労働基準法第26条の規定に違反していないものであること
- ④次のアまたはイであること
- ア、所定労働日の全1日にわたるもの
- イ、当該事業所における労働者について1時間以上行われるもの
- (2)
- 教育訓練
次の①~④のすべてに該当する教育訓練を行うこと- ①労使間の協定により行われるものであること
- ②所定労働日の所定労働時間内において実施されるものであること
- ③職業に関連する知識・技術等の習得を目的とするもの、または事業所における今後の生産性の向上につながると認められるものであること
- ④次のアまたはイに該当するものであること
- ア、事業所内訓練の場合
事業主が自ら実施するものであって、受講する労働者の所定労働時間の全1日または半日(3時間以上で所定労働時間未満)にわたり行われるものであること - イ、事業所外訓練の場合
ア以外の教育訓練で、1日に3時間以上行われるものであって、受講者を当該受講日に業務に就かせないものであること
- ア、事業所内訓練の場合
- (3)
- 出向
次の①~⑬のすべてに該当する出向を行うこと- ①出向期間が3ヶ月以上1年以内であって、終了後に出向元事業所に復帰するものであること
- ②出向先事業所が雇用保険の適用事業所であること
- ③出向元事業主が出向労働者の賃金の一部(全額を除く)を負担していること
- ④出向労働者に出向前に支払っていた賃金とおおむね同じ額の賃金を支払うものであること
- ⑤労使間の協定により行われるものであること
- ⑥出向労働者の同意を得たものであること
- ⑦出向元事業主と出向先事業主との間で締結された契約によるものであること
- ⑧本助成金の対象となる出向の終了後6ヶ月以内に当該労働者を再度出向させるものでないこと
- ⑨出向元事業所において、雇入れ助成の対象となる労働者や他の事業主から本助成金等の支給対象となる出向労働者を受け入れていないこと
- ⑩出向先事業所において、出向者の受入れに際し、自社の労働者について本助成金等の対象となる出向を行っていないこと
- ⑪人事交流のため、経営戦略のため、業務提携のため、実習のため等雇用調整を目的としないで行われるものでなく、かつ、出向労働者を交換しあうものでないこと
- ⑫資本的、経済的、組織的関連性等からみて、出向助成金の支給において独立性を認めることが適当でないと判断される事業主間で行われるものでないこと
- ⑬出向先事業主が、当該出向労働者の出向開始日の前日から起算して6ヶ月の日から1年を経過した日までの間に、当該出向者の受入れに際し、その雇用する被保険者を事業主都合により離職させた事業主以外の事業主であること
- 2.
- 1の雇用調整を、下記「支給額」の1に示す「対象期間」中に実施すること
支給額
本助成金は、次の1の「対象期間」の期間中に行われた休業、教育訓練または当該期間中に開始された出向(ただし3ヶ月以上1年以内の出向に限る)について、2によって算定された額が支給されます。
■1. 対象期間
- (1)
- 「一般事業主」の場合
- ア、「休業等実施計画届」(下記「受給手続」1(1)参照)の初回提出の際に事業主が指定した雇用調整の初日から起算して1年間(1年間で100日、3年間で300日を上限日数とする)
- イ、「出向実施計画届」(下記「受給手続」2(1)参照)の提出の際に事業主が指定した雇用調整の初日から起算して1年間
- (2)
- 「雇用維持等地域事業主」の場合
地域ごとに厚生労働大臣の指定する日から起算して1年間(300日を上限日数とする) - (3)
- 「大型倒産等事業主の関連事業主」の場合
大型倒産等事業主ごとに厚生労働大臣が指定する日から起算して2年間(300日を上限日数とする) - (4)
- 「認定港湾運送事業主」の場合
事業主ごとに認定を受けた日から2年間(300日を上限日数とする)
■2.支給額
- (1)
- 休業の場合
休業を実施した際に支給対象者に対して支払われた休業手当相当額に、下表①の助成率を乗じて得た額 - (2)
- 教育訓練の場合
教育訓練を実施した際に支給対象者に対して支払われた賃金相当額に、下表①の助成率を乗じて得た額に、さらに下表②の加算額を加えた額 - (3)
- 出向の場合
出向を実施した際の出向元事業主の負担額に、下表①の助成率を乗じて得た額
助成内容と受給できる金額 | 大企業 | 中小企業 | |
---|---|---|---|
①助成率 | 1/2 | 2/3 | |
②教育訓練の場合の加算額 (支給対象者1人1日あたり) |
事業所内訓練の場合 | 1,000円 | 1,500円 |
事業所外訓練の場合 | 2,000円 | 3,000円 |
受給手続き
- 1.
- 休業または教育訓練を実施した場合に本助成金を受給するためには、次の(1)~(2)の順に手続きをしてください。
- (1)
- 休業等実施計画届の提出
対象期間内の各「支給対象期間」ごとに、当該支給対象期間の前日までに、当該期間に係る「休業等実施計画書」に必要な書類を添えて管轄の労働局へ提出してください。
ただし、初回の計画届を提出する場合は、「雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書」、「雇用調整実施事業所の雇用指標の状況に関する申出書」を添付した上で、休業または教育訓練を開始する日の2週間前をめどに提出してください。生産指標および雇用指標の確認等は、この初回分のみについて行われます。 - (2)
- 支給申請
対象期間内の各「支給対象期間」ごとに、当該支給対象期間の末日の翌日から2ヶ月以内に、「支給申請書」に必要な書類を添えて、管轄の労働局へ支給申請を行ってください。
- 2.
- 出向を実施した場合に本助成金を受給するためには次の(1)~(2)の順に手続きをしてください。
- (1)
- 出向実施計画届の提出
出向開始日の2週間前をめどに、「雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書」、「雇用調整実施事業所の雇用指標の状況に関する申出書」とともに、「出向実施計画書」を必要な書類を添えて、管轄の労働局へ提出してください。 - (2)
- 支給申請
出向開始日から起算して最初の6ヶ月間を第1支給対象期、次の6ヶ月間を第2支給対象期とし、各期の末日の翌日から2ヶ月以内に、「支給申請書」に必要な書類を添えて、管轄の労働局へ支給申請を行ってください。
実施計画書の提出を先に提出しなくては受給できませんので要注意!